皿鉢料理（さわちりょうり）
皿鉢とは皿と鉢の中間的な形態のものを指す。婚礼や葬式、法事や神祭のほかにも出生の名付けの祝いや節句、新築祝いや六一（ろくいち）と言われる還暦の祝いなど、宴を催すと言えば皿鉢料理であり、何十枚と用意する大きな宴もあった。
高知では刺身を生（なま）と言い、「生」を盛った皿鉢と「組み物」の皿鉢、「すし」の皿鉢を加えた三枚が皿鉢料理の基本とされている。また、鰹のたたきの皿鉢、鰤のぬたの皿鉢、夏場であればそうめんの皿鉢などが加わる事もある。
生（なま）
活魚の刺身を、皿一面並べる。「はつ」（キハダマグロ・メバチマグロ）の刺身や、春には「ドロメ」（鰯の稚魚）が夏には「ないらげ」（カジキマグロ）の刺身が並ぶ。季節になれば鰹のたたき、そのほかシイラや鰤、鯛やカレイなども用いられる。また、不祝儀の際の生は活魚の刺身を使わず、豆腐の刺身などが用いられていた。
組み物
明治になるまでは皿に一種の料理を盛るのが基本だった。当時は料理ではなく材料を2種類以上盛り合わせた場合に「組み物」としていた。
近年では、焼き物、煮物、揚げ物（天ぷら、唐揚げ）、仕直もの（練りもの）、あえ物、酢の物、卵焼きなどを盛り合わせる。
すし
「すし」は晴れ食に欠かせないものであり、皿鉢料理にも必ず加えられる。鯖の姿ずし、甘鯛の姿ずし、太刀魚のかいさまずし、鯖や鯵のひっつけずし、巻きずし、昆布ずし、いなりずしなど種類も豊富である。
鰹のタタキ
新鮮なカツオの表面を藁（わら）の強い火力でさっと炙り、氷水で締め、厚めに切って盛り付ける。スライスしたニンニクやネギ、大葉、ミョウガなどの薬味とポン酢などををかけて食べる。
別名「土佐造り」とも言い、表面は香ばしく中はレアな状態で、独特の食感と旨味が楽しめる。特に「塩たたき」は、高知ならではの食べ方で、素材の味をより引き立てる。
漁師のまかない料理から発達した説や、鰹節を作るときに残る部分を皮付きのまま串に刺して焼いたとする説、魚の皮下に居る寄生虫などを殺すためとする説等、様々な説がある。
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